主な研究とその要点
1. SARS-CoV-2タンパク質とミトコンドリア蛋白との相互作用
- SARS‑CoV‑2の各種タンパク質(ORF3a, ORF9c, ORF10 など)が、ミトコンドリア関連のタンパクと相互作用し、ミトコンドリア機能に障害を引き起こす可能性が報告されています。
- 特に ORF9b は、ミトコンドリア上で TOM70 に結合し、インターフェロン応答(抗ウイルス免疫)を抑制する作用があります。PMC+1Frontiers+2MDPI+2ウィキペディア
2. Spike(スパイク)タンパク質と代謝遺伝子の抑制
- 長期COVID(Long COVID)の背景として、スパイクタンパク質がミトコンドリアの代謝関連遺伝子の発現を長期にわたり抑制し、心臓で線維化や収縮機能低下をもたらす可能性が示唆されています。MDPI
3. 感染後におけるミトコンドリア遺伝子の抑制
- 患者死後の組織や動物モデルでは、ミトコンドリア遺伝子発現の回復が部位によって異なり、心臓・腎臓・肝臓では低下が持続しているケースが観察されています。これは、長期的な臓器機能低下と関連している可能性があります。ウィキペディア+1
4. Eタンパク質(Envelope protein)によるミトコンドリア損傷
- SARS‑CoV‑2のEタンパク質がミトコンドリアのVDAC1(出入り口チャネル)に作用し、ミトコンドリアの機能障害、ミトコンドリアDNAの放出(炎症誘導物質として作用)を引き起こすことが報告されています。SpringerLink
5. 幅広いミトコンドリア機能障害
- 総じて、多くのSARS‑CoV‑2関連タンパク質はミトコンドリアの構造・機能・バイオエネルギー代謝(OXPHOSなど)に影響を及ぼし、それが長期的な後遺症(Long COVID)の背景要因とされることが多く報告されています。arxiv.org+12nature.com+12nature.com+12
まとめ
主張内容 | 現在のエビデンス |
---|---|
ウイルス由来タンパク質が直接ミトコンドリアDNAに結合して遺伝子発現を抑制する | 明確な報告なし |
ミトコンドリア関連遺伝子の長期抑制が報告されている | Spikeタンパク質や他の構成タンパク質で示唆あり MDPI |
ウイルス蛋白がミトコンドリア蛋白と相互作用し機能障害を引き起こす可能性 | 多くの報告あり(ORF3a, ORF9bなど) FrontiersSpringerLinkscience.org |
コメントを残す