タグ: 頻脈

  • 不整脈と心房細動:薬で様子を見るだけでよいのか、アブレーション治療を考えるべきなのか

    不整脈と心房細動:薬で様子を見るだけでよいのか、アブレーション治療を考えるべきなのか

    はじめに

    奥さんが頻脈で60歳前にアブレーション治療をしました。20歳代からの持病でした。歳を重ねるにつれて発作の回数も治る時間の長さも多くなってきました。術後は、発作はすっかりなくなりましたが。その前兆のような症状は残っているようです。でも、QOLは断然良くなっていると思います。

    不整脈とは、心臓の拍動リズムが乱れる状態の総称です。
    脈が飛ぶ、脈が速くなる、脈が遅くなる、動悸がする、胸が不快に感じるなど、症状の出方は人によって異なります。

    不整脈の中でも、特に注意したいものの1つが心房細動です。
    心房細動では、心臓の上側にある「心房」が細かく震えるように動き、規則正しい拍動が失われます。

    心房細動そのものがすぐに命に関わるとは限りませんが、放置すると脳梗塞心不全につながることがあります。したがって、単に「動悸があるかどうか」だけでなく、将来の合併症リスクまで含めて考える必要があります。

    不整脈が疑われるときに行われる検査

    不整脈が疑われる場合、まず基本となるのは心電図検査です。
    ただし、不整脈は常に出ているとは限らないため、通常の心電図だけでは見つからないこともあります。

    その場合には、次のような検査が使われます。

    検査目的
    通常の心電図受診時点での心臓の電気的リズムを確認する
    ホルター心電図24時間程度、日常生活中の心電図を記録する
    長時間記録型の心電計発作が少ない場合に、より長期間の記録を行う
    心エコー検査心臓の大きさ、動き、弁の状態、心機能を確認する
    血液検査甲状腺機能異常、電解質異常、腎機能などを確認する

    元記事でも、心電図、ホルター心電図、植込み型心電計、心エコー検査、血液検査などが紹介されています。特に甲状腺機能異常は不整脈の原因になることがあるため、血液検査で確認されることがあります。

    心房細動で問題になるのは「動悸」だけではない

    心房細動では、動悸、息切れ、疲れやすさ、胸部不快感などが出ることがあります。
    一方で、自覚症状がほとんどない人もいます。

    ここで重要なのは、症状が軽いからといってリスクが低いとは限らないことです。
    心房細動では、心房内で血液がよどみ、血栓ができやすくなることがあります。その血栓が脳の血管に飛ぶと、脳梗塞を起こす可能性があります。

    日本脳卒中協会は、心房細動がある人は脳梗塞になりやすく、適切な抗凝固療法によって心房細動による脳卒中を予防することが重要だと説明しています。

    心房細動の治療は大きく4つに分けて考える

    心房細動の治療は、単純に「薬か、手術か」という二択ではありません。
    現在は、次の4つを組み合わせて考えるのが実務的です。

    治療の柱内容
    生活習慣病の管理高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、睡眠時無呼吸、多量飲酒、喫煙などを管理する
    抗凝固療法脳梗塞予防のために、血栓をできにくくする薬を使う
    薬物療法心拍数を調整したり、発作を抑えたりする
    カテーテルアブレーション異常な電気信号の発生源や伝導経路を焼灼・隔離する治療

    国立循環器病研究センターの資料でも、2026年時点の心房細動治療では、生活習慣病管理、脳梗塞予防、薬物療法、カテーテルアブレーションが重要な柱として整理されています。

    薬物療法:症状を抑える治療

    心房細動に対する薬物療法には、大きく分けて次のような目的があります。

    1つ目は、心拍数が速くなりすぎないようにする治療です。
    2つ目は、心房細動の発作を起こりにくくする治療です。
    3つ目は、脳梗塞を防ぐための抗凝固療法です。

    ここで注意したいのは、抗不整脈薬は症状を抑える目的で使われることが多く、必ずしも心房細動そのものを完全に治す治療ではないという点です。元記事でも、抗不整脈薬は原因を治すというより症状を和らげる治療として説明されています。

    また、抗凝固薬は「血液をサラサラにする薬」と表現されることがありますが、出血リスクもあるため、自己判断で開始・中止するべきではありません。腎機能、年齢、体重、併用薬、出血リスクなどを踏まえて医師が判断します。

    カテーテルアブレーションとは

    カテーテルアブレーションは、足の付け根などの血管から細い管を入れ、心臓内で不整脈の原因となる異常な電気信号の発生源や通り道を治療する方法です。

    心房細動では、肺静脈周辺から異常な電気信号が出ることが多いため、肺静脈の周囲を電気的に隔離する治療が行われます。
    治療には高周波、バルーン、パルスフィールドアブレーションなど複数の方法があります。国立循環器病研究センターのAF外来でも、心房細動の治療選択肢として抗凝固療法、抗不整脈薬、カテーテルアブレーション、ペースメーカー治療、左心耳閉鎖術などが挙げられています。

    アブレーションは「根治を目指せる」が、誰にでも適するわけではない

    元記事では、カテーテルアブレーションは心房細動の根治を目指せる低侵襲治療として紹介されています。これは重要なポイントです。
    一方で、ブログ記事では「根治」という言葉だけが強く残らないように注意が必要です。

    実際には、心房細動の持続期間、左房の拡大、年齢、心不全の有無、腎機能、全身状態、フレイル、併存疾患などによって、効果やリスクは変わります。

    2024年の日本循環器学会/日本不整脈心電学会のガイドライン・フォーカスアップデートでは、80歳以上であっても、症候性心房細動に対するカテーテルアブレーションを年齢だけで除外しないことが示されています。一方で、無症候性心房細動に対して予後改善だけを目的に高齢者へ実施することは推奨されていません。

    つまり、重要なのは「年齢だけで決めない」ことと、「症状、生活の質、心機能、合併症リスクを総合的に判断する」ことです。

    アブレーション治療のリスク

    カテーテルアブレーションは外科的に胸を大きく切開する治療ではなく、低侵襲な治療とされます。
    しかし、リスクがゼロではありません。

    主な合併症としては、以下のようなものがあります。

    合併症内容
    心タンポナーデ心臓の周囲に血液がたまり、心臓の動きが妨げられる状態
    血管合併症カテーテルを入れた部位の出血、血腫など
    脳梗塞・塞栓症まれだが重い合併症になり得る
    横隔神経麻痺横隔膜を動かす神経に影響が出ることがある
    食道関連合併症非常にまれだが重篤化することがある

    元記事でも、心タンポナーデや横隔神経麻痺などが合併症として説明されています。
    したがって、アブレーションを受けるかどうかは、治療によるメリットとリスクを主治医と十分に相談して決める必要があります。

    受診を急いだ方がよい症状

    動悸だけでなく、次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。

    症状考えられる注意点
    強い胸痛狭心症、心筋梗塞などの可能性
    息切れ、呼吸困難心不全などの可能性
    失神、意識が遠のく重い不整脈の可能性
    片側の手足の麻痺、ろれつが回らない脳卒中の可能性
    脈が極端に速い、または遅い緊急対応が必要な不整脈の可能性

    特に、胸痛、失神、麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、自己判断せず救急受診を検討してください。

    まとめ

    不整脈、とくに心房細動は、単なる動悸の問題だけではありません。
    脳梗塞や心不全のリスクを考え、心電図、ホルター心電図、心エコー、血液検査などで状態を確認し、治療方針を決める必要があります。

    治療には、生活習慣病の管理、抗凝固療法、薬物療法、カテーテルアブレーションなどがあります。
    カテーテルアブレーションは、心房細動の根治を目指せる重要な治療選択肢ですが、すべての人に適するわけではありません。

    「薬で様子を見るべきか」「アブレーションを受けるべきか」は、症状、年齢、心臓の状態、心房細動の持続期間、脳梗塞リスク、出血リスク、生活の質などを総合して判断します。

    動悸がある、脈が乱れる、息切れが増えた、健康診断で心房細動を指摘された場合は、循環器内科で相談することが大切です。

    注意点・例外

    この記事は一般的な医療情報であり、診断や治療方針を決定するものではありません。
    不整脈の種類によって、治療方針は大きく異なります。心房細動、心房粗動、発作性上室頻拍、心室性不整脈、徐脈性不整脈では、必要な検査や治療が異なります。

    抗凝固薬や抗不整脈薬は、自己判断で中止しないでください。
    腎機能、出血リスク、併用薬、年齢、体重などによって適切な薬や用量が変わります。専門的判断が必要なため、循環器内科医または主治医に確認が必要です。

    【出典】