健康診断の血液検査では、
「BUN」「尿素窒素」「尿酸」という似た名前の項目が出てくることがあります。
どれも体内で作られ、腎臓から排泄される物質に関係しますが、意味は同じではありません。
特に混同しやすいのが、
- BUN
- 尿素
- 尿酸
の3つです。
この記事では、健康管理の視点から、それぞれが何を意味し、どのような時に注意すべきかを整理します。
BUNとは何か
BUNは、blood urea nitrogen の略です。
日本語では「血中尿素窒素」または「尿素窒素」と呼ばれます。
たんぱく質を食べると、体内でアミノ酸に分解され、さらに代謝されます。その過程でアンモニアが生じますが、アンモニアは毒性が強いため、肝臓で尿素に変換されます。
この尿素は血液に乗って腎臓へ運ばれ、尿として体外へ排泄されます。
BUNは、この尿素の中に含まれる「窒素」の量を測定する検査です。
つまり、BUNは尿素そのものではなく、尿素に含まれる窒素量を見ている検査項目です。
尿素とは何か
尿素は、たんぱく質代謝の結果として作られる老廃物です。
体内では、たんぱく質が分解されると窒素を含む老廃物が生じます。そのままでは体に有害なため、肝臓で尿素に変換されます。
尿素は比較的毒性が低く、水に溶けやすいため、腎臓から尿中へ排泄されます。
健康診断では「尿素」そのものよりも、「尿素に含まれる窒素量」としてBUNが測定されることが一般的です。
尿酸とは何か
尿酸は、尿素とは別の物質です。
尿酸は、プリン体という物質が体内で分解された結果として作られる最終産物です。プリン体は、細胞の核酸やエネルギー代謝に関係する物質で、体内でも作られ、食品からも摂取されます。
尿酸は血液中に存在し、主に腎臓から尿中へ排泄されます。一部は腸管からも排泄されます。
尿酸値が高い状態が続くと、高尿酸血症と呼ばれます。高尿酸血症は痛風発作、尿路結石、腎障害などと関連します。
BUN・尿素・尿酸の違い
| 項目 | 主な由来 | 関係する代謝 | 主な排泄経路 | 健康管理で見るポイント |
|---|---|---|---|---|
| BUN | 尿素中の窒素 | たんぱく質代謝 | 腎臓 | 腎機能、脱水、たんぱく質摂取量 |
| 尿素 | アンモニアを肝臓で無毒化したもの | たんぱく質代謝 | 腎臓 | BUNの元になる物質 |
| 尿酸 | プリン体の分解産物 | 核酸・プリン体代謝 | 腎臓・腸管 | 痛風、高尿酸血症、結石、腎機能 |
簡単にいうと、BUNと尿素は「たんぱく質代謝」に関係し、尿酸は「プリン体代謝」に関係します。
BUNが高い時に考えること
BUNが高い場合、まず考えられるのは腎臓から尿素を排泄する力が落ちている可能性です。
ただし、BUNは腎機能だけで決まる検査ではありません。
BUNが高くなる原因としては、次のようなものがあります。
- 腎機能の低下
- 脱水
- 高たんぱく食
- 消化管出血
- 発熱や感染などによる体内のたんぱく分解亢進
- 心不全などによる腎血流低下
健康診断でBUNだけが少し高い場合、すぐに腎臓病と断定することはできません。
水分摂取量、食事内容、運動、発熱、下痢、服薬状況なども影響します。
BUNが低い時に考えること
BUNが低い場合は、たんぱく質摂取量が少ない、栄養状態が低い、肝臓で尿素を作る力が低下している、あるいは水分摂取が多いなどが考えられます。
ただし、BUN低値だけで病気を判断することはできません。
アルブミン、総たんぱく、肝機能、体重変化、食事量などと合わせて見る必要があります。
BUNだけでは腎機能は判断できない
BUNは腎機能の参考になりますが、単独では不十分です。
腎機能を評価する時には、通常、以下の項目も合わせて確認します。
- クレアチニン
- eGFR
- 尿たんぱく
- 尿潜血
- 血圧
- 糖尿病の有無
- 服薬状況
特にeGFRは、クレアチニン、年齢、性別などから推算される腎機能の指標です。健康診断では、BUNよりもeGFRや尿検査の方が腎機能評価で重要になる場面も多くあります。
BUNが正常でも腎機能に問題がないとは限りません。逆に、BUNが少し高くても、脱水や食事の影響で一時的に上がっていることもあります。
尿酸が高い時に考えること
尿酸値が高い状態は、高尿酸血症と呼ばれます。
日本の診療では、血清尿酸値が7.0 mg/dLを超える場合、高尿酸血症として扱われることが一般的です。
尿酸が高い状態が続くと、尿酸が結晶化し、関節に沈着して痛風発作を起こすことがあります。
痛風発作は、足の親指の付け根、足首、膝などに強い痛みと腫れを起こすことが多いです。
また、尿酸は尿路結石や腎機能低下とも関連します。
尿酸が高くなる主な原因
尿酸値が高くなる背景には、大きく分けて次の要因があります。
- 体内で尿酸が多く作られる
- 腎臓から尿酸を排泄しにくい
- アルコール摂取が多い
- 肥満や内臓脂肪が多い
- 甘い飲料、果糖の摂取が多い
- プリン体の多い食品を多く摂る
- 腎機能が低下している
- 一部の薬剤の影響
尿酸値は、食事だけで決まるわけではありません。
体質、腎機能、肥満、飲酒、生活習慣、薬剤などが複合的に関係します。
BUNと尿酸はどちらも腎臓に関係するが意味は違う
BUNも尿酸も、腎臓から排泄される物質です。
そのため、腎機能が低下すると、どちらも上がることがあります。
しかし、BUNは主にたんぱく質代謝と尿素排泄を反映します。一方、尿酸はプリン体代謝と尿酸排泄を反映します。
したがって、BUNが高いから尿酸も高いとは限りません。尿酸が高いからBUNも高いとも限りません。
健康診断では、それぞれを別の意味を持つ検査として見る必要があります。
健康管理で見るべき組み合わせ
健康診断でBUN、尿酸を見る時は、単独の数値だけでなく、次の組み合わせで考えると理解しやすくなります。
| 組み合わせ | 見るポイント |
|---|---|
| BUN + クレアチニン | 腎臓から老廃物を排泄できているか |
| BUN + eGFR | 腎機能低下の有無 |
| BUN + 尿検査 | 腎障害の有無をより具体的に見る |
| 尿酸 + eGFR | 尿酸排泄と腎機能の関係 |
| 尿酸 + 血圧 | 高血圧、生活習慣病との関連 |
| 尿酸 + 中性脂肪・血糖 | メタボリックシンドロームとの関連 |
| BUN + 食事内容 | 高たんぱく食、脱水、栄養状態の影響 |
BUNが高めの人の生活上の注意
BUNが高めの場合、まず確認したいのは脱水です。
水分摂取が少ない、汗を多くかいた、下痢をした、発熱があった、強い運動をした、という時にはBUNが上がることがあります。
次に、たんぱく質摂取量も確認します。
筋トレやダイエットで高たんぱく食を続けている場合、BUNが高めに出ることがあります。
ただし、腎機能が低下している人が自己判断で高たんぱく食を続けるのは注意が必要です。腎臓病が疑われる場合のたんぱく質制限は、医師や管理栄養士に確認する必要があります。
尿酸が高めの人の生活上の注意
尿酸が高めの場合は、次のような生活管理が重要です。
- アルコールを控える
- 特にビールだけでなく、酒量全体を見直す
- 水分を適切に摂る
- 肥満があれば減量する
- 甘い飲料を控える
- プリン体の多い食品を食べ過ぎない
- 極端な糖質制限や急激な減量を避ける
- 定期的に尿酸値と腎機能を確認する
尿酸対策では、「プリン体の多い食品だけを避ければよい」と考えがちですが、それだけでは不十分です。
肥満、飲酒、果糖、腎機能、薬剤なども関係します。
受診を考えた方がよいケース
健康診断で次のような場合は、医療機関で相談した方がよいと考えられます。
- BUNが明らかに高い
- クレアチニンが高い
- eGFRが低い
- 尿たんぱくが陽性
- 尿潜血が陽性
- 尿酸値が7.0 mg/dLを超えている状態が続く
- 痛風発作のような関節痛がある
- 尿路結石を繰り返している
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症がある
- むくみ、尿量低下、強いだるさがある
特に、BUN、クレアチニン、eGFR、尿検査の異常が重なっている場合は、腎機能の確認が重要です。
まとめ
BUN、尿素、尿酸は名前が似ていますが、意味は異なります。
BUNは、尿素に含まれる窒素を測る検査で、たんぱく質代謝、腎機能、脱水、食事内容などの影響を受けます。
尿素は、たんぱく質代謝で生じたアンモニアを肝臓で処理してできる老廃物です。
尿酸は、プリン体代謝の最終産物で、高い状態が続くと痛風、尿路結石、腎障害などのリスクと関係します。
健康診断では、BUNや尿酸を単独で見るのではなく、クレアチニン、eGFR、尿検査、血圧、血糖、脂質、生活習慣と合わせて確認することが重要です。
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| BUN | blood urea nitrogenの略。血中尿素窒素。尿素に含まれる窒素量を測る検査 |
| 尿素 | たんぱく質代謝で生じるアンモニアを肝臓で処理してできる老廃物 |
| 尿酸 | プリン体が分解されてできる最終産物 |
| プリン体 | 核酸やエネルギー代謝に関係する物質。体内でも作られ、食品からも摂取される |
| クレアチニン | 筋肉由来の老廃物。腎機能評価で重要な検査項目 |
| eGFR | 推算糸球体濾過量。腎臓が血液をろ過する力の目安 |
| 高尿酸血症 | 血清尿酸値が高い状態。一般に7.0 mg/dL超が目安 |
| 痛風 | 尿酸結晶が関節に沈着して炎症を起こす病気 |
| 尿路結石 | 尿の通り道に石ができる状態。尿酸も原因の一つになる |
| 脱水 | 体内の水分が不足した状態。BUN上昇の一因になる |
注意点・例外
検査値の基準範囲は、検査機関、年齢、性別、測定方法によって異なる場合があります。
BUNが高い場合でも、必ず腎臓病とは限りません。脱水、高たんぱく食、消化管出血、発熱、運動などでも上がることがあります。
尿酸値が高い場合でも、すぐに薬物治療が必要とは限りません。痛風発作の有無、尿酸値の程度、腎機能、合併症、生活習慣を含めて判断されます。
腎臓病、高尿酸血症、痛風、尿路結石が疑われる場合は、自己判断ではなく医師に相談してください。食事療法や薬物治療の判断には専門家への確認が必要です。
参考文献・出典
- MedlinePlus:BUN(Blood Urea Nitrogen)検査
- Cleveland Clinic:Blood Urea Nitrogen(BUN)Test
- 東京都予防医学協会:尿素窒素(BUN)(血液)
- 日本臨床検査専門医会:腎臓の検査(BUN・Cr)
- Mindsガイドラインライブラリ:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版
- 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会:ガイドライン
- 千葉健生病院 健診センター:腎機能検査 BUN・クレアチニン・尿酸・eGFR
【確実性: 高】
2020/07/11, KeenMe.
2026/05/23, 更新

